この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
相談者は、配偶者が亡くなられて、遺産である自宅不動産の共有持分と預貯金について、相続手続をしようとしました。ところが、配偶者の親族が共同相続人であることが判明しました。相談者は、共同相続人に対し、手紙で連絡をしてみましたが全く反応がなく、また、直接会いに行っても面会すら断られてしまいました。相談者は、相続手続を進めることができず、法律相談にいらっしゃいました。
解決への流れ
私は共同相続人に対し連絡をとりましたが、反応がありませんでした。直ちに、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てましたが、共同相続人は、調停期日にも出頭せず、全く対応をしませんでした。そこで、相談者が共同相続人に対し、遺産の評価額のうち共同相続人の法定相続分相当額を支払うことと引き換えに、全ての遺産を単独で相続することを内容とする遺産分割案を提示しました。これに加えて、裁判所に対し、共同相続人の積極的同意を必要としない「調停に代わる審判」をするよう求めました。裁判所は、何度か共同相続人へ連絡を試みた後、当方の分割案を内容とする審判をしました。相談者は、この審判に基づき遺産について相続手続をすることができました。
遺産分割は、基本的には、親族間の話し合いで解決することが多いと思います。しかし、核家族化の影響もあり、疎遠な関係の親族が共同相続人となることが増えております、これにより、①遺産分割協議に無関心・非協力的、また、②共同相続人が遠隔地に居住など、親族間の協議が困難な場合があります。そのような場合、ご自身のみで対応することには限界があり、弁護士を介入させて、家庭裁判所の調停手続を利用した方が、結果として早期かつ公平な解決に結びつくことも多いと思います。上述の事例は、①共同相続人が相続に無関心・非協力的な事例でしたが、「調停に代わる審判」を利用することにより、調停段階で比較的早期に解決することができたと思われます。なにがなんでも共同相続人と協議しようとした場合、解決までの時間は予断を許さない状況になっていたと思います。また、調停手続では、②共同相続人が遠隔地に居住している場合でも、電話会議システムを利用することにより、手続を進行することが可能な場合もあります。いずれにせよ、遺産分割を自身で行うことに限界を感じた場合、なるべくお早めに弁護士に相談されたほうがよいと考えます。