犯罪・刑事事件の解決事例
#労働条件・人事異動 . #労災認定

【過労死・労災認定】10年越しの労災認定を獲得した事例

Lawyer Image
山本 勝敏 弁護士が解決
所属事務所山本勝敏法律事務所
所在地岡山県 岡山市北区

この事例の依頼主

70代 女性

相談前の状況

信用金庫に勤務していた息子さん(30代)が、心筋梗塞で亡くなられました。遺族(お母さん)が労働基準監督署に対して労働災害申請しましたが、労災が認められず、労働者災害補償保険審査官に対する審査請求をしましたが、これも認められませんでした。加えて、労働保険審査会に対して再審査請求を行いましたが、ここでも認められず、息子さんの死亡から、ご相談に来られた時には、息子さんのご逝去から約10年が経過していました。

解決への流れ

相談に来られた時、労働保険審査会資料に記載された関係者による供述から業務の概要は把握できたものの、長時間労働を裏付ける資料は著しく乏しい事案でした。夜遅くまで働いて帰って来ていたというお母さんのお話をもとに、長時間労働により心筋梗塞を発症して亡くなったと構成し、既に職場を退職した後輩が県内におられるということでしたので、この方からお話しを聴き、具体的な労働実態を把握することにしました。そして、後輩の方のお話から、・月80時間程度の残業をしていたこと・心筋梗塞発症に近接し胸の痛みを訴えていたことなどをお聞きし、地方裁判所に労働災害給付不給付決定処分取消訴訟を提起し、この方に証人として証言して頂くこととなりました。また、息子さんが倒れた当時の上司を敵性証人(敵対関係にある証人)として、反対尋問によって長時間労働の実態を聴きだすことにしました。実際の証人尋問では、具体的に何時から何時までとの証言は得られませんでしたが、毎日遅くまで残業をしていた証言が得られました。また、職場の上司からも毎日午後8時、9時まで仕事をしていた証言を得ることができ、厚生労働省の脳・心臓疾患の認定基準月80時間の時間労働が認められるとして、裁判所より労働災害給付不支給処分取消決定判決を得ることができました。10数年をかけての労働災害認定でした。

Lawyer Image
山本 勝敏 弁護士からのコメント

10年越しのご遺族の気持ちが届いた一件でした。亡くなった方は戻っては来ず、ご遺族の悲しみが消えるわけではありません。しかし、相談者の訴えが事実であれば、どこかにそれを裏付ける証拠があること。諦めず戦えば、敵性証人(相手方に有利な証人)からでも事実を引き出すことができることを学ぶ、心に残る案件です。