この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
ガス関係工事の下請け業を営む40代男性(個人事業主)が、事業がうまくいかず借金を重ね、親族や友人からも借り入れをしたうえに、いわゆる闇金にも手を出し、雇い人の賃金も払えず、総額約4000万円の借金を負っていた。債権者の中には、出資法違反を犯している闇金とおぼしき業者が5名程度含まれており、自宅の外に出られないような状況であった。
解決への流れ
事業の状況から、借金を減額してもらっても返済資金を作れないと判断し、自己破産申立を行った。出資法違反を犯している業者については、自己破産申立をすると連絡すると、取り立てを止めた。雇い人の賃金については、労働者健康安全機構(平成28年4月1日に労働者健康福祉機構より改名)によって未払い額の8割が支払われた。最後まで取り立てを諦めなかった友人の債権者に対しても、破産が認められることにより支払義務を免れることを粘り強く説明し、何とか事態は収束した。結局、当該事業者は借金の支払い義務を全て免れ、自宅の外にも出られるようになり、あらたな仕事を見つけて、生活を建て直すことができた。
この事案の特徴は、地元の闇金から多くの借金をしていたことと、取り立てを諦めない友人の債権者がいたことです。闇金の多くは、東京に本拠を持ち、弁護士が破産する旨を伝えると、取り立てをすぐに止めるケースが多いのですが、地元の業者の場合は本人の自宅や職場に直接来ることできるので、容易に諦めないことがあります。しかし、この事案では、弁護士が介入したことを各業者に素早く知らせて、厳然と支払いを拒否する旨を伝えたところ、速やかに取り立てを止めることができました。また、友人や知人の債権者は、個人的に親しい関係にあるために、却って取り立てを諦めきれない方が多いのですが、法律上は友人であっても他の債権者と区別することはできず、特別に返済することはできない旨粘り強く説明し、何とか事態を収束させることができました。さらに、個人事業主や法人の場合、破産申立をすると雇い人の未払い賃金については過去3か月分について8割まで労働者健康安全機構が立替払いをしてくれますので、破産申立をすることによって雇い人の方の未払い賃料の一定額の支払いが確保できました。