この事例の依頼主
20代 男性
相談前の状況
被害者である男性が、自転車で横断歩道を走行していたところ、自動車に衝突されました。その男性は大きく跳ばされ、頭を強く打って、脳挫傷などの障害を負い、病院での治療後、高次脳機能障害の後遺症が残りました。加害者は、「被害者が赤信号無視をした」と主張して、刑事処分は不起訴(無罪)になりました。民事事件としても、被害者の過失が大きいとして、自賠責の重過失減額が想定される状況でした。この後、当職は被害者やその家族と面談をして、事件を受任しました。
解決への流れ
まず、検察庁に対し、実況見分調書(交通事故現場見取図)とそれに添付されている写真の写しを入手しました。交通事故現場見取図を見て、不起訴無罪はおかしいと感じました。加害者は黄色信号で交差点に進入しており、しかも事故現場周辺は見通しが非常によいので、加害者にもかなりの過失があると考えました。そこで、当職は検察審査会に申立をしました。検察審査会で審査された結果、不起訴不当との判断が下されました。しかし、検察庁は起訴しませんでした。その後、自賠責に対し被害者請求(いわゆる16条請求)をしました。その際、事故現場周辺は見通しが非常によいので、加害者にもかなりの過失があると主張しました。後遺障害等級7級の認定がなされ、心配していた重過失減額はされませんでした。しかし、依頼者の状態は、就労するにはかなり困難な状態でしたので、7級は低い評価であるとして異議申立をしました。その結果、6級が認定されました。さらに就労可能性のある6級ではなく、ほとんど就労可能性がない4級にあたるとして、再度異議申立をしました。その後、その主張が認められ、最終的には4級が認定されました。
交通事故の被害者は、自賠責での等級認定がなされると、争うことができないと思われる方が多いのですが、自賠責等級認定は最終判断ではありません。異議申立や裁判によって逆転することがあります。本当に障害が残ったと思われる場合には、逆転の可能性があるかどうかについて、無料法律相談を受けていただきたいと思います。