この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
下請け会社で,初代社長が会社立ち上げの時から会社と社長に仕えていた誠実な従業員の方が,二代目社長に変わった途端,老いぼれだとか無能だとか罵声を浴びせられ,退職を余儀なくさせられました。会社の経営も思わしくなかったので,それを知っている依頼者の方は,退職金は100万円でいいからを下さいと言ったところ,うるさいとの一喝で無視されたことから,憤懣やるかたなく,ご相談にこられました。二代目社長は自分が就任した途端,勝手に就業規則を変えて,退職金規程を削除するなどしていて,かなり悪質な事案で,人ごとながら私も怒りに燃えました。
解決への流れ
すぐ退職金を支払うよう提訴し,勝手に変更した従業員規則は無効であるとして,本来の従業員規則に基づく退職金全額1200万円を請求しました。裁判は2年ほどかかりましたが,退職金は全額認められました。確かに会社は経営が思わしくなかったので,支払いは分割とはなりましたが,依頼者の方からは,自分が思ってもいなかった多額の退職金を手にすることができ,非常に感謝されました。依頼者の方の口癖が,「あんなに人をバカにせず,あの時100万円でも支払ってくれていれば,自分は満足していたのに。」でしたので,当然といえば当然でしょう。そのためか,弁護士になりたてのころの事件でしたが,依頼を受けてからの10年間,この方からは毎年お中元とお歳暮を戴いています。戴くたびに,今でも感謝して戴いているのだなあと,毎年嬉しく,又,有り難い気持ちになります。
会社の社長さんには,自分のことを,何でも出来る王様とでも勘違いしている方が多いようです。ですので,その下で働く従業員の方には,そういった王様社長が常にとるやりたい放題の仕打ちを,当たり前と思い込んだり,生活もかかっているのでぐっと耐え忍んだりする方が多いです。しかしながら,現代社会は法に規律された社会です。昔の王様のようなやりたい放題など通用しません。従業員である労働者の方は家来や奴隷ではないのです。適法・適切な労働現場で,労働力を提供し,それに対する見合った賃金を請求出来る労働者なのです。理不尽な目にあったら,泣き寝入りすることなく,自身の権利に基づき,正当な主張をすべきです。それが出来なければ,私どもが力をお貸しします。一緒に大声で叫びましょう,正当な権利を!闘いましょう,不法な王様モドキと!あなた自身を輝かせるために。あなたの明るい将来を切り開くために。