11031.jpg
JASRACが「ものまねパブ」を訴えた! なぜ音楽を自由に流してはいけないのか?
2014年02月27日 11時18分

テレビでも大人気の「ものまね芸」。そんな「ものまね」のライブショーを目玉とする飲食店が全国各地に存在する。その一つを、JASRAC(日本音楽著作権協会)がこのほど、著作権侵害で名古屋地裁に訴え、話題になっている。

提訴されたのは、名古屋市内のものまねショーパブ。JASRACが管理している楽曲を無許可で利用し、ものまね芸の際にカラオケとして流しているというのだ。JASRAC側は再三にわたって店に契約を結ぶよう求めたが、店は応じず、楽曲を無断利用し続けているという。

ものまねショーパブに支払いを求めた訴訟は全国で初めてということだが、こうした際には、利用料を支払わなければならないものなのだろうか。著作権にくわしい中谷寛也弁護士に聞いた。

テレビでも大人気の「ものまね芸」。そんな「ものまね」のライブショーを目玉とする飲食店が全国各地に存在する。その一つを、JASRAC(日本音楽著作権協会)がこのほど、著作権侵害で名古屋地裁に訴え、話題になっている。

提訴されたのは、名古屋市内のものまねショーパブ。JASRACが管理している楽曲を無許可で利用し、ものまね芸の際にカラオケとして流しているというのだ。JASRAC側は再三にわたって店に契約を結ぶよう求めたが、店は応じず、楽曲を無断利用し続けているという。

ものまねショーパブに支払いを求めた訴訟は全国で初めてということだが、こうした際には、利用料を支払わなければならないものなのだろうか。著作権にくわしい中谷寛也弁護士に聞いた。

●「ものまねショーパブ」も著作権者の許諾が必要

「原則として、他人の作詞・作曲した楽曲を演奏したり、録音物(CDなど)を再生してその場にいる人に聞かせたりする場合には、著作権法により、作詞者や作曲者など著作権者の許諾を得る必要があります。

例外として、お客さんからお金をもらわず、また演奏者などにもお金を支払わないコンサートなどの場合は、許諾を得なくても良いことになっています。

ただ、ものまねショーパブの場合は、当然お客さんからお金をもらいますし、ものまねタレントにもお店からお金が支払われますから、許諾を得なくて良い例外にはあたりません」

店と著作権者の問題に、どうしてJASRACが出てくるのだろうか?

「著作権者は当然ながら曲によってそれぞれ異なりますから、1曲使うごとに、いちいちそれぞれの曲の作詞者や作曲者から許諾を受けていたらとても大変で、現実的ではありません。

そこで、こうした著作権者の権利をまとめる団体(著作権管理団体)の一つとして、JASRACがあります。

著作権管理団体の役割は、著作権者と信託契約を結び、著作権者の代わりに利用許諾を行い、利用者から受け取った料金を著作権者に分配することです」

●「JASRACとの契約」が必要になるのが大半

ものまねショーで楽曲を利用する際には、必ずJASRACと契約しなければならないのだろうか?

「音楽の著作権管理業務は2000年の法改正で自由化されましたが、長くJASRACが独占していたこともあり、メジャーな楽曲のほとんどは今もなお、JASRACが管理している状態と言って良いでしょう。

したがって現実問題としては、日本で有名な曲のカラオケをものまねショーパブで使用したいという場合には、JASRACと契約し、JASRACを通じて許諾を得る必要があるのが大半でしょう。

さらに使用曲によっては、JASRAC以外の団体と契約を結んだり、場合によっては作詞者・作曲者から直接許諾を得なければならないケースもありえます」

こうした形態の商売をするとなれば、JASRACとの契約は、現実問題としては欠かせないことになっているようだ。中谷弁護士はこうしたJASRACの現状について、次のように締めくくっていた。

「JASRACというと、今回のように差止め訴訟を提起するときにニュースになることが多いので、音楽をなるべく使わせないように活動しているような印象があるかもしれませんが、実は本来の目的は逆です。

本来は、多くの音楽を多くの人が簡単な手続で利用できるようにして、また著作権者に公平にその利用料を分配する、というための組織なんですね。

ただし、JASRACが本当にその目的を果たしているのか、疑問を持つ人も少なくありません。特に、著作権者側からは、本当に徴収した利用料が公平に分配されているかという疑問も多く提起されています。こうした疑問に対して、JASRACはきちんと向き合って、著作権者・利用者を含めた多くの人の理解を得られるよう努力していかなければならないでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る