当時13歳だった少女に性交したとして、不同意性交の罪に問われた20代の男性に対して、大阪地裁は9月4日、懲役4年の実刑判決(求刑:懲役5年)を言い渡した。
被告人は公判で、少女とは交際関係であり「相手から誘われた」と繰り返し主張した。
しかし、法廷で明らかにされたLINEのメッセージなどは、未成年の未熟さにつけ込んだものと呼ぶにふさわしい内容だった。(裁判ライター・普通)
●保釈当日に「禁止事項」破った被告人
起訴状によると、被告人は、大阪府に住む16歳未満の少女の年齢を知りながら、自身が居住する埼玉県内の自宅で性交に及んだ。被告人は起訴事実を認めている。
検察官の冒頭陳述などによると、2人はSNSで知り合った。事件前日、少女が家族とトラブルとなり家出をほのめかしたため、被告人が埼玉県から車で迎えに行き、自宅に連れ帰ったとされる。
少女の不在に気づいた親はすぐに警察に連絡した。障害を持つ少女の位置情報を追跡できるようにしており、被告人の存在を把握したことから、事態は比較的速やかに発覚した。
少女の親は「犯人とは連絡はとっていたが、交際は認めていない。性交なんてもってのほか」と強く憤る。
被告人は裁判前に一度保釈が許可されたが、その当日に、禁止事項である「少女への連絡」を取っていたことが発覚し、保釈が取り消された。
法廷では、保釈期間中に少女と交わした「(不同意性交等罪の法定刑の)5年間入ることになるが待てるか?」「裁判官にお願いするしかないね」といったやりとりが読み上げられた。
●勤務先社長、保証金を肩代わりしたが没収に・・・
被告人の勤務先の社長は、情状証人として証言台に立ち、被告人を再び雇用する意向を示し、保釈時の保証金も肩代わり。しかし、保釈取り消しによって保証金は没収された。
社長は「裏切られた気持ちがある」としつつも「仕事をちゃんとしてくれればいい」と寛容な姿勢を見せた。
実は2人の関係性はまだ3カ月程度だった。社長は仕事を通じて築かれた信頼関係を証言したが、具体的エピソードはなく、今後の監督についても「本人としっかり約束するしかない」と述べるにとどまった。
●被告人「少女がしつこく誘ってきたので」
被告人は、弁護人の質問に対して、事件の半月前から少女と交際を始めたと主張した。なお、直接顔を合わせたのは、事件のときが初めてだった。
少女から「生きることに疲れた」「死ぬしか考えられない」「リスカしたい」といったメッセージが来たため、急いで迎えに行ったと供述した。しかし、少女の親に連絡しなかった理由、警察に相談しなかった理由、わざわざ埼玉県まで連れ帰った理由は明確にしなかった。
弁護人:性交までの流れを教えてください。
被告人:家着いて、1回寝て、起きたら少女から「セックスしよう」と言われました。1度断ったのですが、2度言われたので、そっちがいいならと。避妊するかの話になったのですが「なくていい」と。
弁護人:1回断ったのは?
被告人:法律的に、性交したらマズいかなと思い。
弁護人:2回目に応じてしまったのはどうして?
被告人:しつこく誘ってきたので言われるがままで。
あくまで少女から誘われたのでやむなくというスタンスだ。また、保釈が取り消されることとなったメッセージのやりとりに関しては「向こうから来ていた」と受動的である姿勢を続けた。
しかし、自身でもメッセージを送ったことに関しては、「関係をはっきりさせたくて」「お互い先に進めるように」などと理由を述べ、少女とは今後一切の連絡を取らないとした。
●LINE「1回じゃ子どもできないよw」
なお、被告人は避妊をしていなかった。
検察官:避妊について、あなたはする気があったけど、少女がしないと言ったと。
被告人:はい。
検察官:でも、「俺はゴムはつけない派だ。気持ちよくなくなる」となどと言ってないですか。
被告人:はい。
その後、検察官から、被告人が少女に対して「どっちがいい?つけないほうが気持ちいいよ」「生が一番いいよ」「1回じゃ(子ども)できないよw」などのメッセージを送っていたことが指摘された。
しかし、被告人はいずれも「覚えていない」と答えた。
禁止されていた少女への連絡についても「忘れていた」と繰り返した。検察官から「誓約書も書いているのに?」などと追及された。
●裁判官「性欲のおもむくままの犯行」
判決の中で、裁判官は、被告人と少女の交際関係を認め、性交のきっかけが「仮にもちかけられたのだとしても」と被告人の主張を一部汲みつつも、「未成年の判断の未熟さにつけこみ、性欲のおもむくままの犯行」として、その犯行を厳しく非難した。