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技能実習生による死産した双子の遺棄事件、弁護団が意見募集 「​​出産の生の姿を最高裁に伝えたい」
2022年02月07日 16時22分

死産した双子の遺体を自宅に置き続けたとして死体遺棄罪に問われたベトナム人技能実習生について、福岡高裁が一審・熊本地裁に続き、懲役3カ月・執行猶予2年の有罪としたことを受け、弁護団が2月5日、HPで出産経験者や産婦人科医らに意見書の募集を始めた。

意見書は郵便もしくはメールで集め、弁護団が上告趣意書とともに最高裁に提出する予定。

死産した双子の遺体を自宅に置き続けたとして死体遺棄罪に問われたベトナム人技能実習生について、福岡高裁が一審・熊本地裁に続き、懲役3カ月・執行猶予2年の有罪としたことを受け、弁護団が2月5日、HPで出産経験者や産婦人科医らに意見書の募集を始めた。

HPでは、「最高裁の裁判官は15人いますが、女性は2人だけです」として、「出産時の状況や出産後のご自身の体調について、教えてください」「出産とはこういうものだという、生の姿を、最高裁に伝えたい」としている。

意見書は郵便もしくはメールで集め、弁護団が上告趣意書とともに最高裁に提出する予定。

弁護人の石黒大貴弁護士は「皆様お一人お一人がこの事件についてどのようにお感じになったのか、その声を意見書として最高裁判所に届けたいと考えています」と呼びかけている。

●「妊娠の事実は言えなかったが、遺体を捨てるつもりはなかった」

この事件は、2020年11月15日ごろ、ベトナム人技能実習生のレー・ティ・トゥイ・リン被告人が、熊本県芦北町の自宅で死産した双子の遺体を段ボールに入れて置き続けた行為が死体遺棄罪に問われている。

死体遺棄罪は「死者に対する宗教的感情、敬けん感情」を保護するものだとされている。石黒弁護士は「社会的に見て彼女の行為が、死者に対する宗教的感情、敬けん感情を害したと言えるのか」と訴える。

「彼女は監理団体に妊娠の事実は言えなかったが、遺体を捨てるつもりはなかった。死産を告白するまでの1日9時間というわずかな時間、彼女がどういう体調や精神状態だったのか。死産直後の彼女の行為一つ一つに、どういう意味があったのかと細かい意味を求めること自体がナンセンスだと思う」

意見書は、出産経験者や産婦人科医の他、精神科医、宗教家、在留外国人など一般の人の意見を募集している。郵送の場合3月31日までに投函、メールの場合4月1日午前0時まで受け付けている。

●これまでの判断は?

一審・熊本地裁は、レー被告人が死産を隠すために段ボール箱に二重に入れ、回復したら埋葬しようなどと考え自宅に置き続けた行為が「死産を周りに隠したまま、私的に埋葬するための準備であり、正常な埋葬のための準備ではないから、国民の一般的な宗教的感情を害することが明らか」などとして、懲役8カ月・執行猶予3年を言い渡した。
二審・福岡高裁は「死体を二つの段ボール箱で二重に包み、合計で十数片の接着テープを用いて封をした上で、自宅の棚の上に置き、他者がそれらの死体を発見することが困難な状況を作出した」などとして、一審同様「遺棄」に当たると判断。「技能実習を続けるために、妊娠、出産を隠そうと考えて犯行に及んだことには、一定程度酌むことのできる事情がある」とし、懲役3カ月・執行猶予2年に減刑した。弁護団は1月31日に上告した。
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