13672.jpg
富士山の登山道で「矢印の落書き」発見、どんな罪に問われる?
2024年11月20日 10時04分
#富士山 #文化財保護法 #落書き

富士山の登山道で、岩などに落書きされているのが見つかったと報じられている。

テレビ朝日によると、白い塗料による矢印の落書きが11月7日までに富士宮ルートの6合目から8合目にかけて、合わせて150カ所で見つかったという。

富士山では2017年にも、本来の登山ルートと違う方向を指す矢印の落書きが見つかっていた。

わざと他人の所有物に落書きするような場合は「器物破損」などの犯罪が成立する。富士山の登山道で落書きする行為はどのような責任を問われるのだろうか。浅井耀介弁護士に聞いた。

富士山の登山道で、岩などに落書きされているのが見つかったと報じられている。

テレビ朝日によると、白い塗料による矢印の落書きが11月7日までに富士宮ルートの6合目から8合目にかけて、合わせて150カ所で見つかったという。

富士山では2017年にも、本来の登山ルートと違う方向を指す矢印の落書きが見つかっていた。

わざと他人の所有物に落書きするような場合は「器物破損」などの犯罪が成立する。富士山の登山道で落書きする行為はどのような責任を問われるのだろうか。浅井耀介弁護士に聞いた。

●富士山は「史跡名勝天然記念物」に指定されている

富士山は、文化財保護法の「史跡名勝天然記念物」に指定されており、我が国にとって、歴史上または学術上、価値の高いものであるとして、法律上の保護の対象とされています。

そして、史跡名勝天然記念物の現状を変更したり、その保存に影響を及ぼす行為で、「滅失し、毀損し、または衰亡する」に至らしめた場合、5年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金で処分されるとされています(同196条)。

富士山の登山道にある岩などに落書きする行為は、史跡名勝天然記念物の現状を変更して、これを「毀損」することに他ならず、落書きをした人は、文化財保護法違反を問われることになるでしょう。

たとえば、最近でも、富士山と同じように「史跡名勝天然記念物」に指定されている沖縄県の浦添城跡に落書きした人が、文化財保護法違反で逮捕された事例もあります。

●登山道の岩に落書きすることに潜むさらなる危険

今回問題となっているケースのように、登山道に矢印の落書きをした場合には、登山者がその矢印に従ってしまう可能性も考えなければいけません。

矢印が示す道が正しいルートであればまだよいのですが、もしも矢印が示す先が危険性のあるルートだった場合、そしてその矢印に従ってしまった登山者がケガをしたり、最悪死に至る事故につながった場合、矢印の落書きをした人には、過失致死傷罪が成立する可能性もあります。

以上を踏まえて、景観維持という観点だけでなく、登山者の安全を守るという観点からも、岩などに勝手に矢印の落書きをするような行為は控えるべきだといえます。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る