16537.jpg
「接触してないのに…」車に驚いて高齢者が転倒、これも事故なの?
2018年11月19日 09時53分

駐車場で車を走らせていたところ、「非接触事故」を起こし、高齢男性を怪我させてしまった方が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。

相談者によると、広い駐車場で曲がろうとしたところ、「おじいさんが車に驚いて転んでしまい、警察を呼んだところ事故扱い」になったと言います。その高齢男性は、杖と傘をもって歩いていました。車とは接触していないものの「避けようとして転んだ」といい、頭部打撲で全治一週間の怪我を負ったそうです。

このような「非接触事故」において、運転者の過失はどのように認定されるのでしょうか。山岡嗣也弁護士に聞きました。

駐車場で車を走らせていたところ、「非接触事故」を起こし、高齢男性を怪我させてしまった方が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。

相談者によると、広い駐車場で曲がろうとしたところ、「おじいさんが車に驚いて転んでしまい、警察を呼んだところ事故扱い」になったと言います。その高齢男性は、杖と傘をもって歩いていました。車とは接触していないものの「避けようとして転んだ」といい、頭部打撲で全治一週間の怪我を負ったそうです。

このような「非接触事故」において、運転者の過失はどのように認定されるのでしょうか。山岡嗣也弁護士に聞きました。

●接触していたら「85:15」の過失割合となった可能性

ーー今回、もし接触していたら、どのように過失認定されていたのでしょうか

「もし車と高齢の男性が接触していたら、当然、運転手に責任が生じ、過失割合は、男性が65歳以上であれば、一般に運転手85:男性15の過失割合になると考えられます」

ーー今回は転倒してしまったものの、接触はしていません。この場合には、どうなるのでしょうか

「1)車との距離が近かった場合、2)車との距離が十分に離れていた場合とで、結論は異なってきます。

1)の場合、車との距離が近かったため、男性が驚いて避けようとしたために転倒した、という状況であれば、接触事故と同様に考えることになります。つまり、運転手には男性の転倒に責任が生じ、過失割合も運転手85:男性15の過失割合になると考えます。

しかし、2)の場合はどうでしょうか。男性が車を見て驚いた場所と車との距離が十分に離れており、おじいさんが避けようとしなくても接触事故が起きなかったとします。その場合には、車の運転とおじいさんの転倒との間に相当因果関係がないと判断され、運転手に責任が生じないと考えられます。

なお、運転手に過失が認定された場合には、民事上、おじいさんの損害に対し、過失割合に相当する損害賠償を行う必要があります。また、刑事上、過失運転致傷罪が成立する可能性があります」

ーー今回は駐車場での事故でしたが、事故が起こりやすい注意が必要な場所ですね

「駐車場内では、車は駐車場内に人の往来があることを予見し、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行する注意義務を負います。

また、歩行者は、駐車場内の通路が車の移動のための設備である以上、駐車場内の通路を通行する場合は四輪車が通行することを予見し、慎重に進路の安全を確認すべきでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る