16816.jpg
不倫発覚した内縁の妻が家を出て行ってしまい…、病身の夫が「置き去りにされた」と慰謝料請求
2024年09月04日 11時15分

「うつ病で日常生活を一人ではできない状態なのに、内縁の妻に家を出ていかれ、大変な思いをした。慰謝料を請求できないのか?」。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談を寄せた男性は、うつ病を患っているといいます。10数年間連れ添った内縁の妻による介護がないと、1人では食事やトイレをすることが困難な状態でした。ところが妻の不貞行為が発覚し、男性が問い詰めると「妻は家を出ていってしまった」そうです。

男性の状態を知りつつ、家を出ていった妻に対し「慰謝料を請求したい」としています。内縁の妻にあたるのであれば、不貞や「悪意の遺棄」にあたるとして慰謝料を請求することはできるのでしょうか。松本典子弁護士に聞きました。

「うつ病で日常生活を一人ではできない状態なのに、内縁の妻に家を出ていかれ、大変な思いをした。慰謝料を請求できないのか?」。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談を寄せた男性は、うつ病を患っているといいます。10数年間連れ添った内縁の妻による介護がないと、1人では食事やトイレをすることが困難な状態でした。ところが妻の不貞行為が発覚し、男性が問い詰めると「妻は家を出ていってしまった」そうです。

男性の状態を知りつつ、家を出ていった妻に対し「慰謝料を請求したい」としています。内縁の妻にあたるのであれば、不貞や「悪意の遺棄」にあたるとして慰謝料を請求することはできるのでしょうか。松本典子弁護士に聞きました。

●「内縁の妻」とは

——婚姻関係にはなかったとはいえ、10数年の付き合いで同居もしていたことは「内縁の妻」に該当するのでしょうか

「内縁の妻」とは、婚姻の届出をしていないため法律上の夫婦とは認められないものの、社会生活を送る上で事実上夫婦同然の生活をする女性のことを指します。判例も、内縁関係を「婚姻に準ずる関係」と認めています。

法的に内縁関係があるかどうかの判断ポイントとしては、

・その男女に婚姻の意思があるかどうか
・夫婦同然の共同生活を営んでいるかどうか

という点から判断されることになります。同居の期間もこの判断の中で考慮されることになります。

——今回、相談者は10数年、同居していたそうです。この期間はどう判断されますか

一般的には、3年程度の同居期間があれば、内縁関係が認められやすくなる傾向にあります。

本件のケースでは、婚姻関係になかったとはいえ、10数年の付き合いで同居もしていたということですので、「内縁の妻」に該当すると考えられます。

●慰謝料の請求は可能?

——その場合、不貞行為や「悪意の遺棄」に該当するとして、慰謝料請求は可能なのでしょうか

まず、不貞行為についてですが、内縁関係の夫婦も、結婚している夫婦と同様、貞操義務を負うものと考えられています。

本件のケースでは、内縁の妻が貞操義務に違反して不貞行為をしていますので、慰謝料を請求することができると考えられます。ただし、不貞行為の当時、すでに内縁関係が破綻していたといった事情がある場合には、慰謝料を請求することはできません。

次に、「悪意の遺棄」とは、正当な理由なく、夫婦の同居義務、協力義務および扶助義務を放棄する行為のことをいいます。法律婚の場合には、裁判で離婚が認められる事由のひとつです。

内縁関係の場合も、夫婦同然の共同生活を営んでいることが前提となっていますので、正当な理由のない破棄があれば、慰謝料を請求することができると考えられます。

本件のケースでは、内縁の妻は男性の症状を知りつつ、不貞行為の発覚を理由に家を出ていったということですので、慰謝料請求をすることができると考えられます。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る