16877.jpg
職場で仕事を与えられない「社内ニート」 会社に「仕事をくれ!」と要求できるか?
2014年08月02日 12時00分

せっかく出社しても、満足な仕事が与えられず、机に座って暇つぶしばかり。会社に勤めていても、やることがない「社内ニート」や「オフィスニート」とも呼べる人たちが、インターネットの掲示板で悩みを打ち明けている。

「社内ニート」には若い人も含まれている。このままでは人脈もスキルも得られないまま、いずれは「リストラ」が待っているかもしれない。ある入社1年目の男性は、売上確認や伝票の作成など事務を担当しているが、やるべきことは午前中に全部終わってしまうという。男性は「意外としんどい」「なんで俺を採用したの」とぼやいている。

「楽で何もしなくていい」と満足しているならともかく、「ちゃんと働きたい」と思っているのに「社内ニート状態」になってしまった場合、どうすればいいのだろうか。古金千明弁護士に聞いた。

せっかく出社しても、満足な仕事が与えられず、机に座って暇つぶしばかり。会社に勤めていても、やることがない「社内ニート」や「オフィスニート」とも呼べる人たちが、インターネットの掲示板で悩みを打ち明けている。

「社内ニート」には若い人も含まれている。このままでは人脈もスキルも得られないまま、いずれは「リストラ」が待っているかもしれない。ある入社1年目の男性は、売上確認や伝票の作成など事務を担当しているが、やるべきことは午前中に全部終わってしまうという。男性は「意外としんどい」「なんで俺を採用したの」とぼやいている。

「楽で何もしなくていい」と満足しているならともかく、「ちゃんと働きたい」と思っているのに「社内ニート状態」になってしまった場合、どうすればいいのだろうか。古金千明弁護士に聞いた。

●労働者には、「仕事をくれ」と要求できる権利はない

「労働契約上、従業員は、会社に対して、労務を提供する義務を負っています。

一方、『仕事をくれ』と要求する従業員の権利(就労請求権)は、原則としてないと考えられています。

もちろん、仕事の割り振りについて、従業員が会社と任意に交渉をすることは可能です」

法的な権利がないということは、「仕事をくれ」という交渉に会社が応じなくても問題はない?

「はい。給料が支払われている限りは、法的な問題は原則として生じません」

●「腕が鈍る」ケースは問題

社内ニートは、会社から交渉拒否されたら、どうしようもないということか。

「ただし、例外があります。職務内容を限定して雇用されたのに、入社後に異なる職務を担当させられた場合などが当てはまります。

たとえば、『通訳』という職種で雇われたのに、一般事務しかさせてもらえないというケースなどが考えられるでしょう。

また、特殊な技能や専門知識を有する職種について、不就労による技能や熟練の劣化を防止する必要がある場合です。調理人、職人さんなど『継続して使わないと腕が鈍る』というような職種が当てはまる可能性があります」

こうした場合なら、「約束どおりの仕事をさせろ」と、労働契約に基づいて要求できるということだ。

●地道に自分の能力をPRしよう

それでは一般職で採用され、危機感を抱いている「若手社内ニート」はどうすればいい?

「そうした若手が、社内ニート状態から脱するには、地道な『社内営業』などで、能力を会社に認めてもらうよう努力を継続することが現実的でしょう。

社内に労働組合があるなら加入して、団体交渉の中で仕事の割り振りについて会社と交渉するという方法もありえます」

くすぶっている若手にとっては、長い道のりにも感じる。

「会社は営利企業です。合理的な判断ができる会社なら、有用な人材を遊ばせておくことの不合理さに気づくでしょう。逆に会社が、そうした合理的な判断をできないようであれば、その会社に在籍し続けるのか、新しい仕事を探すのか、そこは、ご自身の判断に委ねられる問題です」

自分が何をしていても、時間だけは平等に過ぎていく。社内でこのまま頑張るのか、どこかで見切りをつけるのか・・・。運悪く、こういう状況に陥ってしまったら、難しい決断を強いられることになりそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る