2925.jpg
就活後ろ倒しで内定解禁前に出た「ほぼ内々定」・・・「内定」や「内々定」と違う?
2015年08月13日 13時58分

今年の就職活動の特徴は、採用内定の解禁が8月に後ろ倒しになったことだが、実際は8月前にも選考結果が出ていたようだ。リクルートキャリアの調査によると、来春卒業予定の大学生、大学院生の就職内定率が7月1日時点で49.6%だった。

ただ、8月にならないと正式な内定を出せないため、あいまいな対応のケースもあったようだ。ネットの掲示板には、今年6月の段階で「ほぼ内々定であるという話をいただきました」という学生の投稿があった。投稿者のケースでは、大手企業であるため、8月にも再び面接があるとのことだった。

投稿者は「8月に落とされるのではないかと不安に思っています」と打ち明けている。「内定」、「内々定」、「ほぼ内々定」といったものは法的にどう違うのか。「ほぼ内々定」という言葉に安心して、就職活動をやめても問題ないのか。近藤麻紀弁護士に聞いた。

今年の就職活動の特徴は、採用内定の解禁が8月に後ろ倒しになったことだが、実際は8月前にも選考結果が出ていたようだ。リクルートキャリアの調査によると、来春卒業予定の大学生、大学院生の就職内定率が7月1日時点で49.6%だった。

ただ、8月にならないと正式な内定を出せないため、あいまいな対応のケースもあったようだ。ネットの掲示板には、今年6月の段階で「ほぼ内々定であるという話をいただきました」という学生の投稿があった。投稿者のケースでは、大手企業であるため、8月にも再び面接があるとのことだった。

投稿者は「8月に落とされるのではないかと不安に思っています」と打ち明けている。「内定」、「内々定」、「ほぼ内々定」といったものは法的にどう違うのか。「ほぼ内々定」という言葉に安心して、就職活動をやめても問題ないのか。近藤麻紀弁護士に聞いた。

●採用内定の取り消しは労働契約の解約になる

近藤弁護士が解説する。

「何をもって就職活動をやめても問題ないといえるかは難しいですが、会社と労働契約が成立したといえる段階になったかどうかは1つの基準となるのではないかと思います」

その基準とはどのようなものだろうか。

「考え方はいろいろありますが、裁判例では、『採用内定』は、解約する権利が留保された労働契約の成立と解されています。

つまり、その取り消しは労働契約の解約となり、解約が無効となれば労働契約上の地位の確認を求めることができます。具体的な状況によりますが、実際に内定通知が来ていて、入社の誓約書も提出しているようなケースでは、労働契約が成立していると考えることができる場合が多いでしょう」

では、内定ではなく、内々定の場合はどうだろうか

「『採用内々定』では、労働契約成立は認められず、その取消が不当な場合、会社に損害賠償を求める余地があるかが問題になると考えられます。

ただ、実際のところ、『採用内定』か『採用内々定』かは、その名称に関わらず、どのような具体的なやりとりがされたかという事実から判断されますので、注意が必要です。実態として、労働契約が成立したといえる状況であるかどうかが重要なのです」

●実態が「採用内定」と同じかどうか

では、「ほぼ内々定」はどうだろうか。

「『ほぼ内々定』は、言葉どおりであれば、『採用内々定』にも至らない段階ですので、労働契約は成立しておらず、面接の結果、不運にも『内々定』とならなくても会社に対して労働契約上の地位の確認を求めることはできないと思いますが、手続上、正式な採用内定を出せないだけで、実態が採用内定と同様のやりとりがあった場合は、事情が異なるかもしれません。

例えば、入社を誓約させ他社への就職活動をやめるよう言われた等の事実があった場合、実態は『採用内定』として労働契約が成立し、『内々定』とならないことについても、実質は労働契約の解約としてその無効を争う余地がある場合もありうるかと思います」

近藤弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る