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40代銀行マン「隠し口座」作って風俗に…妻をあざむく手法、問題ない?
2019年01月09日 09時52分

「うちの妻は会社のことよく知らないから、大丈夫なんです」。

ある金融機関に勤める管理職の男性(40代)は、毎月の給与から一定額を、妻が知らない「隠し口座」に入れるようにしている。罪悪感もありつつ、勤務先から認められた手法として続けている。

始めたのは数年前から。給与の上がり方が鈍くなった一方で、飲み会などで部下におごる機会は増えた。ランチ代を節約しても、もともとの小遣いだけではやりくりは厳しい。子どもの教育費もかさむ時期で、「小遣い増額」は認められそうもないという事情があった。

隠し口座は男性が名義人で、妻はその存在を知らない。毎月4万円入るが、かなりの部分をすぐに使ってしまうため、残高は30万円に満たないほど。風俗店に行くときに使ったこともあるし、部下を飲みに連れて行くときなどは心強い「第2の財布」となっているという。

このような隠し口座について、妻との関係で法的な問題はないのだろうか。天野仁弁護士に聞いた。

「うちの妻は会社のことよく知らないから、大丈夫なんです」。

ある金融機関に勤める管理職の男性(40代)は、毎月の給与から一定額を、妻が知らない「隠し口座」に入れるようにしている。罪悪感もありつつ、勤務先から認められた手法として続けている。

始めたのは数年前から。給与の上がり方が鈍くなった一方で、飲み会などで部下におごる機会は増えた。ランチ代を節約しても、もともとの小遣いだけではやりくりは厳しい。子どもの教育費もかさむ時期で、「小遣い増額」は認められそうもないという事情があった。

隠し口座は男性が名義人で、妻はその存在を知らない。毎月4万円入るが、かなりの部分をすぐに使ってしまうため、残高は30万円に満たないほど。風俗店に行くときに使ったこともあるし、部下を飲みに連れて行くときなどは心強い「第2の財布」となっているという。

このような隠し口座について、妻との関係で法的な問題はないのだろうか。天野仁弁護士に聞いた。

●隠し口座も「財産分与の対象」

ーー妻に知らせずに隠し口座に金を流す行為は、法的に問題になるでしょうか

「夫の給与収入は原則として夫の財産になるため、夫が隠し口座にお金を流すことは、それ自体では法的な問題とはなりません。

民法762条1項は、『夫婦の一方が…婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう)とする』と規定しているためです(夫婦別産制)。

ただし、民法760条は、『夫婦は…、婚姻から生ずる費用を分担する』と規定していますので(婚姻費用分担義務)、夫が隠し口座にお金を流すことによって、その義務を果たせていない場合、法的な問題が生じます」

ーーでは、その場合に妻はどのような手段を取ることができますか

「妻が夫の隠し口座にお金が貯まっていることに気づいた場合、それまで、夫から適正な婚姻費用が拠出されていなかったのであれば、妻は夫に適正な婚姻費用の分担を求めることができます。

また、夫婦が離婚する場合の財産分与では、夫婦共同生活を営んでいた期間に増加した夫婦の財産は、名義の如何を問わず、半分ずつに分けるのが原則となっています。したがって、隠し口座の預金も財産分与の対象財産となります」

ーー例えば夫が隠し口座の金融機関名や支店名を明かさないなど、ほとんど情報がわからない場合にも財産分与の請求はできるのでしょうか

「そこが難しいところです。調停・裁判の実務では、相手が任意に情報を開示しない場合、財産分与の請求者が相手の財産のありかを指摘する必要がありますので、相手に隠されてしまうと、その分の財産分与請求が事実上できなくなってしまうおそれがあります。

離婚の可能性が生じた時点で、財産分与の請求を想定して早めに弁護士に相談し、取れる手段について相談することをお勧めします。できれば、相手に、こちらが離婚に向けた準備に入ったと悟られないうちに、弁護士にご相談いただくのがベターです」

(弁護士ドットコムニュース)

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