9033.jpg
「絶対に逃さない」旧統一教会を2世が初の提訴、3億円請求 恋愛や進学で「自由な選択」できず
2025年07月24日 17時16分
#宗教2世 #統一教会 #世界平和統一家庭連合 #サタン

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者である親から虐待を受け、人権を侵害され続けたとして、「宗教2世」の8人が7月24日、教団を相手取り、計約3億2300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

旧統一教会の信者が教団を訴えることはこれまでもあったが、2世が自らの精神的被害をもとにした提訴は初めてという。

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者である親から虐待を受け、人権を侵害され続けたとして、「宗教2世」の8人が7月24日、教団を相手取り、計約3億2300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

旧統一教会の信者が教団を訴えることはこれまでもあったが、2世が自らの精神的被害をもとにした提訴は初めてという。

●人生の重要な局面で選択や決定が許されなかった

訴状によると、原告は20代から40代の男女8人。慰謝料や献金被害などを含めた請求額は1人あたり3300万円から約5984万円で、総額は約3億2308万円に上る。

原告らは、教団が「違法な伝道・教化手法によって親の信教の自由を実質的に奪ったうえ、2世に対しても直接的・間接的に人格権などを侵害する行為に及んでいる」と指摘した。

具体的には、幼少期から「恋愛は堕落の始まり」「統一原理に反する行動を取れば地獄に落ちる」「親や教会に背くことは神に背くことである」などと教え込まれたと主張。

異性との交際や進学・進路選択といった人生の重要な局面で、自由な意思による選択や決定が許されなかったという。

画像タイトル 提訴を決めた心境について説明する原告の2世(2025年7月24日、東京・霞が関の司法記者クラブで、弁護士ドットコムニュース撮影)

●原告「『絶対に逃さない』という強い思いから」

提訴後、原告や弁護団が東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。

原告の1人で、四国地方に住む20代男性は、双子の弟が自死したことを明かしたうえで、次のようにうったえた。

「この訴訟は、私にとって、大きな意味が2つあると考えています。1つは、私が、教団の教えにより、自分の人生を自由に選ぶことができなかったこと、諦めざるを得なかった将来についての違法を問うものです。

2つ目の訴訟の意味は、私の双子の弟が自死したことに対して、教団の責任を問うことです。弟は生前に、統一教会との関係についてもう関わりたくないんだ、と話し、教会に行ったあとも辛そうな表情をしていました。

弟が、教団の信者ではない家庭に生まれていたら、違った人生があったと思います。この訴訟は、生き残った私が弟へできる唯一のことです。弟は、決して死にたくはなかったはずで、それは教団の影響を受けた死であり、その責任を教団は取るべきです」

会見に出席しなかった他の原告らについても、代理人がそれぞれのコメントを読み上げた。

「『絶対に逃さない』という強い思いから訴訟を起こさせていただきました」「せめて統一教会にはきちんと責任をとって欲しくて裁判を起こすことにしました」などと述べている。

今回の宗教2世による提訴について、世界平和統一家庭連合は弁護士ドットコムニュースの取材に対して以下のコメントを出した。

「訴状が届き次第、内容を精査して対応を検討いたします」

*編集部注:世界平和統一家庭連合のコメントを追記しました(2025年7月28日18時15分)。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る