この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
相談者は末っ子長男で、上に4人のお姉さんがいました。相談者は、妻と共に長らく両親の介護を行っていました。両親には同居の土地建物以外には財産がなく、改修費や両親の生活費等も相談者が出していました。両親の生前は、同居の土地建物は長男である相談者が継ぐという話でしたが、両親の死後、お姉さん達から遺産分割の請求があり、土地建物を売却して売却代金を分割するように言われました。
解決への流れ
相談者は、妻と共に相当長期間両親の介護を行っていたため、介護報酬相当額×裁量割合×日数の寄与分を主張することができ、その額が相当な金額に上りました。また、過去の銀行取引の記録や領収書から、相談者が改修費や、医療費等を支出していたことを立証でき、結局、土地建物を売らずに少額の金銭をお姉さん達に支払うことで解決することができました。
寄与分とは、相続財産の増加にどれだけ寄与したかというものなので、抽象的な主張ではなく、計算根拠と証拠資料に基づいた請求をする必要があります。介護の場合には、要介護度に応じた介護報酬日額に裁量割合(プロの介護でないことを理由とした減額)と介護の日数を掛けた金額を主張することになります。その他様々な主張の方法がありますが、相続人が苦労をしたということを訴えるだけでは不十分で、それによって被相続人のお金が節約できたということを確かな証拠をもって主張することが必要だと思います。被相続人のためにお金を出したという場合には、領収書のほかに自分の通帳からその金額が支出されたという足跡を残しておくと良いと思います。