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月135時間残業で「うつ病」、環境省・元キャリア官僚が国賠提訴…公務災害は認定
うつ病を発症して「公務災害」の認定を受けた元国家公務員総合職の女性(28)が7月27日、安全配慮義務違反があったとして、国家賠償法などに基づき、国を相手取り約1586万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。
原告側によると、女性は大学卒業後の2017年4月、国家公務員総合職として環境省に採用された。翌2018年6月、福島地方環境事務所に配置換えとなり、恒常的に長時間労働を余儀なくされるようになったという。
2019年2月初めには、福島県内で、中間貯蔵施設整備事業開始後初となる作業員の死亡事故が発生したことから、緊急度・重要度の高い業務に従事することになった。同月、うつ病を発症し、6月まで自宅療養。途中復職と再休職を経て、2020年2月に退職した。
女性は2019年11月に公務災害を申し立て、「発症前に長時間の時間外勤務を行っており、死亡事故発生以降、通常時と比べて緊急度・重要度の非常に高い業務及び作業が発生し、共同の精神的、肉体的負荷を受けたと認められる」などとして、2021年6月に認定された。
原告側によると、認定された発症前6カ月間の時間外労働時間は、多い月で135時間、発症1カ月前は102時間を超えたという。2022年6月、国を相手方として損害賠償を求める民事調停を申し立てたが、国がこれに応じず調停は不成立となり、今回の国賠提訴に至った。
商標「AFURI」めぐる訴訟、割れる意見「企業が独占していいの?」「権利行使は当然」弁護士の見解は?
「AFURI(あふり)」という名前をめぐる法廷闘争が、ネットを賑わせている。酒造メーカー「吉川醸造」(神奈川県伊勢原市)が8月22日、公式サイトでラーメンチェーン店「AFURI」(厚木市)から商標権を侵害しているとして東京地裁に提訴されたことを明らかにしたものだ。
一方、AFURI社も8月26日、公式HPで「お願い、申し入れが聞き入れられず、やむなく最終的な判断を司法の場に求めることになりました」「ラーメン事業のみならず、他にもいくつかの事業を計画しており、その過程で必要に応じて商標登録を取得し維持を図っております」と訴訟に至った背景を発表した。
ネットでは意見が割れている。「地名を商標登録して他に使わせないって」「一企業が独占的に使用してもいい名前じゃないと思う」などと吉川醸造側の意見もあれば、「お酒を展開するプロジェクトがあるのであれば、商標取るのは当然」「権利者が権利行使するのは当然の話」とAFURI側に賛同する声もあった。
双方の主張をふまえたうえで、商標にくわしい弁護士に見解を聞いた。
名刺交換したら、勝手に企業のメルマガが届くようになってウザい! 違法では?
ビジネスの場でまず行う名刺交換。都内で働く営業職のマサミさん(20代・仮名)は、どこかで名刺交換した相手から度々勝手に送られてくるメールに困惑しているようです。
「私の会社もイベントを開催するときに個人情報を集めることはありますが、イベント申し込みフォームの段階で、『協賛企業から情報が送られてくる可能性があります』と書いています。ただ名刺交換しただけなのに、全く違うメールが送られてくると、複雑な気持ちになりますね」
ネットのQ&Aサイトでも、登録した覚えのないメールマガジンが来るようになり、配信停止希望とその会社に返したところ、以前名刺交換をした人の会社だったという相談が寄せられている。
本人の許可なしに、名刺に書かれたメールアドレスを会社のメールマガジンに登録することは、法的に問題ないのでしょうか。最所義一弁護士に聞きました。
銀座の画廊で女性作家を待ち伏せする男性客、SNSでは「抱きたい」とセクハラ繰り返す
「抱きたい」とSNSで書き込み、無理やり画廊に侵入——。
銀座の画廊で働く女性は、危険なギャラリーストーカーを目撃してきたという。
ギャラリーストーカーとは、画廊や展覧会で若い作家や美大生に、執拗につきまとう人たちのことだ。彼らは画廊に居座り、無料のキャバクラのような接客を作家たちに求める。
中には一線を越え、「結婚してほしい」「愛人になれ」と迫ったりもする。しつこいストーキングやハラスメントにより作家は追い詰められ、創作活動が止まったり、身に危険が迫ったりするケースもある。
しかし、彼らは画廊の客であり、コレクターであることから、若い作家はもちろん、画廊ですら強く拒否することが難しい。
美術業界でも、ギャラリーストーカーの被害は深刻なものと受け止められなかった。取材を進めると、その背景には美術業界の特殊な伝統や構造があることが浮かび上がってきた。
弁護士ドットコムニュースでは、1年以上かけて美術業界における被害を取材。その集大成として今年1月、書籍『ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害』(猪谷千香著/中央公論新社)を発刊した。
ギャラリーストーカーや美術業界で起きているハラスメントの実態について、本書の一部を抜粋して4回にわたってお届けする。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)
書籍『ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害』
「他の男のものになるなら」 動画配信で知り合った女性ライバー殺害、男性リスナーの身勝手な「支配欲」
埼玉県越谷市のアパートで2022年1月、元交際相手の女性(当時33歳)を包丁で刺すなどして殺害したとして、殺人や銃刀法違反などの罪に問われた男性被告(26歳)の裁判員裁判が5月10日、さいたま地裁であった。検察側が懲役18年を求刑して結審した。
動画配信アプリのライバー(配信者)とリスナー(視聴者)との間で起きた殺人事件。最終弁論の途中で、親族が苛立ちを隠せず、裁判長が退廷を命じるハプニングもあった。はたして、いかに裁かれるのか。(ライター・渋井哲也)
ジャニーズ性被害、元ジュニアが国会内ヒアリング 「命削ってこの場に来た」早急の救済を要望
故ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐり、元ジャニーズJr.の石丸志門さんと大島幸広さんが8月30日、立憲民主党が国会内で開いたヒアリングに参加した。法務省や警察庁、こども家庭庁などの担当者らも同席した。
このヒアリングに先立って、ジャニーズ事務所の再発防止特別チームは8月29日、喜多川氏の性加害を事実認定し、藤島ジュリー景子社長の辞任を提言していた。
「ジャニーズ性加害問題当事者の会」副代表の石丸志門さんは、再発防止特別チームの調査報告書について、「『当事者の会』が求めていた事実認定、謝罪、救済については言及されたが、国の関与については提言されていなかった」と話した。
そのうえで「国とジャニーズ事務所と我々『当事者の会』の3者が三位一体となって被害者救済に当たらねば、真の被害者救済は達成できないのではないか。3者が力を合わせて被害者救済案を策定することを望む。そこに国の介入も求めたい」と訴えた。
提言された藤島ジュリー社長の辞任について、大島さんは「まず退陣せずにしっかり責任をとっていただきたい。直接会話をしていただきたい」と要望。「名前と顔を出して命を削りながらこの場に来ています。長引くほど私たちの精神的ダメージも大きいので、早急に被害者を救済していただきたい」と求めた。
会社の経費で「ボトルキープ」、後で私的に飲みまくり…経理にバレてしまうリスク
居酒屋やバーなどで、お酒をボトルキープをすることはありますが、これが取引先の接待や会社の懇親会など、経費で落とせる飲み会だった場合には、そのお酒の扱いはどうなるのでしょうか。
キープしておいたお酒を後で飲みにいって、店が出してくれれば、タダでお酒を飲むことができることになります。
やりすぎると会社の経理担当にバレてしまう可能性もあるのでしょうか。バレた場合のリスクはどのようなものがあるのでしょうか。冨田健太郎税理士に聞きました。
人気急上昇の音声SNSアプリ「Clubhouse」、勝手に「音楽」を流していいの?
音声SNSアプリ「Clubhouse」(クラブハウス)の人気が急上昇しているが、音楽のCDをかけたり、ピアノを演奏している「ルーム」がある。はたして法的に問題ないのだろうか。
<スキーバス事故>犠牲者のSNS「顔写真」を報道で利用ーー法的な問題はないのか?
長野県軽井沢町のスキーツアーバス事故で死亡した乗客の人物像を伝えるために、新聞やテレビなどのメディアは、フェイスブックなどのSNSに掲載された乗客の写真を使って報道する場合がある。そのことについて、ネット上では「何でもあり気な報道に違和感を持ちます」「こんな使い方してええんか?」と疑問の声が上がっている。
これまでも、大きな事件や事故があった場合、新聞やテレビでは、亡くなった人の顔写真を掲載することが多かったが、記者が遺族や友人・知人などから入手するケースが多かった。ただ、最近はフェイスブックなどで公開されている写真を、報道のために使用するケースが目立っている。
亡くなった本人がこのような写真の使われ方を想定していたとは考えがたいが、「報道目的」でフェイスブックの画像を無許可で使用することに問題はないのだろうか。
また、マスメディアだけでなく、2ちゃんねるやまとめサイトなどでも、写真が使われているケースがある。なかには、特定の乗客について「かわいい」「美人」などとコメントしているケースもあるが、新聞やテレビとは法的な扱いが変わってくるのだろうか。表現の自由とプライバシーの問題にくわしい佃克彦弁護士に聞いた。
W杯ファンを驚かせた試合中の「かみつき行為」 暴行を加えても「逮捕」されないの?
ワールドカップ・ブラジル大会の試合中に、対戦チームの選手の肩にかみついたとして、国際サッカー連盟(FIFA)は6月26日、ウルグアイ代表FWのルイス・スアレス選手に、公式戦9試合の出場停止処分を科したと発表した。
この処分によって、スアレス選手は決勝トーナメントに出場できなくなる。同選手は24日におこなわれたイタリア戦で、相手DFのキエッリーニ選手の肩にかみついたとされる。そのときは退場等の処分を受けなかったが、試合後の調査を経て、処分が発表された。また、4カ月のサッカー活動の禁止や、罰金10万スイス・フラン(約1130万円)なども合わせて科される。
スアレス選手といえば、これまでも試合中に「かみつき」行為をおこなって、出場停止などの処分を受けたことがある。他人に「かみつく」という行為は、ピッチ外だったら犯罪に問われそうだが、スポーツの試合ならば、警察に逮捕されて裁判にかけられることはないのか。辻口信良弁護士に聞いた。