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これは「パワハラ」ではないのか? フェイスブックで「部下のミス」を晒す上司
「打ち合わせに遅れてきた部下の言い訳がダメすぎ。きっちりシメてやりましたよ!」。部下のミスをフェイスブックで“晒す”上司がいるのだという。上司は面白いネタの一つとして投稿しているようだが、こんな調子で晒される部下にとっては気持ちがいいものではない。
たとえ名前が出ていなくても、そこでネタにされているのが自分であることはわかる。自分の失敗談について「ひどい後輩www」「笑えるw」といったコメントがつけば、心が傷つくのだ。ネットメディア「ITmediaニュース」には、「全員に嘲笑されているような気がしてつらかった」というある女性の声が紹介されていた。
このような部下の失敗をネタにした投稿は、フェイスブック上の「いじめ」といえないか。不特定多数の人が見ている「公然の場」で部下のミスをあげつらうのは、パワハラにあたり、違法とはいえないのだろうか。SNSをめぐる法律問題にくわしい森本明宏弁護士に聞いた。
兄弟で「薬物依存症」に、俳優が実体験を映画化 家族の葛藤を描く「まっ白の闇」
薬物依存症の若者とその家族を描いた映画「まっ白の闇」(監督・内谷正文)が11月3日から公開される(新宿Kʼs cinemaなど)。 映画には、薬物依存症の回復支援団体「ダルク」のメンバーも出演する。
俳優の内谷正文さんが監督・脚本を担当した。映画には、薬物依存症の当事者であり、家族でもあった内谷さん自身が経験した苦しみがリアルに描かれている。内谷さんに話を聞いた。
刃物男に警官が「7回発砲」 警察官が「拳銃を使って良い条件」は?
刃物で切りつけてきた男に対して、警察官が7回発砲し、重傷を負わせる事件が7月21日、横浜市内で起きた。
報道によると、警察官は「客同士のトラブルで、包丁を持った男が客を脅し、逃げた」というコンビニからの通報を受けて、現場に急行した。警察官3人は住宅街の路地に男を追い込み、「包丁を捨てろ、撃つぞ」と警告。しかし、取り押さえようとした警察官を男が包丁で切りつけたため、ほかの警察官2人が、約3メートルの距離から計7回発砲した。威嚇射撃はなかった。
男は銃弾数発を腹などに受けて重傷を負い、その場で公務執行妨害と傷害、銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕された。一方、肩を切られた警察官は軽症だったという。鶴見署の伊東博志副署長は読売新聞の取材に対し、「現時点で、捜査は適正だったと考えているが、さらに事実関係を調査する」とコメントしている。
警察官が拳銃を携えているのは「使うべきとき」があるからだろう。では、それは具体的にはどんなときなのか。法律は警察官の発砲について、どのように定めているのだろうか。荒木樹弁護士に聞いた。
●拳銃が使える場面は、厳しく限定されている
「警察官の拳銃使用については、『警察官職務執行法』という法律で決まっています。
警察官の武器使用が認められるのは、犯人の逮捕に必要な場合と、警察官もしくは他人の防護のために必要な場合のどちらかに限られています(同法7条本文)」
――それでは逮捕に必要なら、どんなときでも人を拳銃で撃って良い?
「いえ、武器を使うことと、その武器で実際に『人に危害を加えること』は別の話です。
人に危害を与えることが許されるのは、原則として、刑法上の『正当防衛』などにあたる場合に限定されています(同7条ただし書き)」
――拳銃を使うことが「正当防衛」になるのは、どんな場合?
「刑法上、『正当防衛』が成り立つためには、(1)急迫不正の侵害と、(2)防衛行為の必要性・相当性という要件が満たされる必要があります。
かみ砕いて言うと、(1)は、自分や他人の身に(違法行為など)不正な危険が差し迫っていなくてはならない、(2)は、身を守る必要性があり、手段も妥当でなければならない、ということですね」
――今回のケースは、それらの条件に当てはまる?
「報道によると、包丁を持って逃走中の犯人が、警察官の肩を切りつけたということですから、警察官の生命に対する危険はあったと言えるでしょう。したがって、(1)はクリアします。
一方、(2)防衛行為の必要性・相当性については、報道内容だけからは即断できません。具体的な状況による検討が必要です」
――今回のような発砲が許されるのは、たとえばどんな状況?
「本件では2名の警察官が、威嚇射撃をせずに7発の銃弾を発砲して、犯人に重傷を負わせた一方、警察官は軽傷とのことです。
たとえば、犯人が突然切りかかるなど、威嚇射撃の時間的猶予がなかった。さらに、切りつけられた警察官の生命の危険が切迫していた。初回の発砲後も犯人が包丁を所持して抵抗を続けていた……というような場合であれば、警察官の発砲行為全体について、(2)防衛行為の必要性・相当性が認められるのではないでしょうか」
日本では警察官が拳銃を使える条件は、法律で厳しく規制されている。今回のケースで、7回発砲したことが手段として相当だったのか、慎重に検証されるべきだろう。
「モンハン」データ改変で「チート行為」初摘発、法的な位置付けは?
人気オンラインゲーム『モンスターハンター フロンティアG』(カプコン)で、ゲームのデータを改変する「チート行為」をおこなったとして、通信制大学3年の男性が10月上旬、私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで奈良県警に逮捕された。
報道によると、男性は今年4月、ゲームを有利にすすめられるように改変する「チート行為」をネットオークションを通じて請け負い、愛知県の男性と千葉県の男性のデータにアクセスして、キャラクターを強くするデータ改変をおこなった疑いが持たれている。
今回、オンライゲームのチート行為の摘発は全国で初めてということだが、チート行為の法的位置づけはどうなっているのだろうか。インターネット問題にくわしい深澤諭史弁護士に聞いた。
内閣の臨時国会の召集義務をめぐる違憲訴訟 「訴え不適法」再び憲法判断回避、東京高裁
野党側が臨時国会の召集を求めたにもかかわらず、当時の安倍内閣が約3カ月応じなかったことが、憲法に違反するかどうかが争われた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(相澤哲裁判長)は2月21日、一審判決を支持し、控訴を棄却した。
憲法53条後段は、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求で内閣が召集を決定しなければならないと定めている。原告の小西洋之参院議員(立憲民主党)は、同条に基づき内閣は20日以内に臨時国会を召集する義務を負うことなどの確認を求め提訴していた。
東京高裁は、臨時国会の召集要求権は国会議員という国の機関の権限だと指摘。国会議員としての活動が憲法で保証されているからといって、ただちに個々の国会議員が召集要求権を主観的な権利または利益として有しているわけではないとした。
小西議員の確認を求める訴えについては、国会議員と内閣との間の紛争であり、訴えの提起を許す法令の規定がないため不適法だとした一審判決と同様、裁判所の審判の対象とはならないとした。
判決後に開かれた会見で、小西議員の代理人を務める伊藤真弁護士は「原告や国民に説明しようという気がまったくない判決。司法が政府の憲法無視を黙認してしまい、役割を果たしていない」と批判した。
同代理人の賀川進太郎弁護士は「最高裁では大法廷に回付して憲法判断をしてもらいたい」と話し、上告するつもりであることを明らかにした。
生成AIでランサムウェア作成 男性に執行猶予付き懲役3年の判決 東京地裁
感染したコンピュータを使用不能にしたり身代金を要求するメッセージを表示させたりするウイルス「ランサムウェア」を生成AIで作成したなどとして不正指令電磁的記録作成などの罪に問われた男性被告(25)に対して、東京地裁は10月25日、懲役3年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。求刑は懲役4年だった。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
刑務所出所者の就労「偏見・差別は避けられない」コロナでより厳しい現実に 再犯防止目指すNPOの取り組み
刑務所を出所しても、帰る場所や仕事がなく、再び犯罪をしてしまう人も少なくない。そのため、法務省は「再犯防止に向けた総合対策」の1つとして、社会における「居場所」(住居など)と「出番」(仕事)を作ることをあげている。
ただでさえ、刑務所を出所した人たちが「出番(仕事)」を獲得することは容易ではないが、コロナ禍ではより厳しい現実がみえてきた。(編集部・吉田緑)
オーディション合格→芸能スクール紹介…退学で「入学費31万円を返還して」消費者団体が提訴
特定非営利活動法人「消費者機構日本」(東京都千代田区)が4月28日、芸能人養成学校を運営する「アカデミー・エンターテイメント」(旧社名「エーチーム・アカデミー」)に対し、既に退学した受講生に対して入学時諸費用のうち31万円を返金させることを目的とした「共通義務確認訴訟」を提起した。
この日、会見に臨んだ「消費者機構日本」の代理人弁護士によると、これまで同機構に20数件の相談があった他、全国の消費者生活センターには70〜80件の相談が寄せられているという。同機構では、対象となる消費者は5750名〜7600名、損害額は17億8250万円〜23億5600万円にのぼると推計している。
会見で同機構は「被害が疑われる場合には、消費者ホットライン(電話番号188)や消費者機構日本に問い合わせをして欲しい」と呼びかけた。
コロナ休業補償から漏れた「シフト労働者」救済へ弁護団結成 4月16日にホットライン
コロナ禍で雇用主から一方的にシフトを減らされ、収入が減ったパート・アルバイトを救済するために、労働問題に取り組む弁護士が4月14日、「シフト制労働対策弁護団」を結成した。弁護団は4月16日に電話相談窓口を開設する。
「一蘭」カップ麺など販売価格を強制か、公取委が調査…消費者にはどんな影響?
人気ラーメンチェーン「一蘭」(福岡市)が商品化したカップ麺などについて、小売店での販売価格を不当に拘束した疑いがあるとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(再販売価格の拘束)容疑で同社を調査していると3月29日、報じられた。
これを受け、一蘭は自社のウェブサイトで「現在、公正取引委員会から任意の調査を受けていることは事実でございます。弊社と致しましては、全面的に調査に協力をしております」とコメントしている。
報道などによると、同社は、カップ麺などの自社商品を販売する際、小売店に価格を維持するよう指示し、値下げをしないよう圧力をかけた疑いがあるという。公取委は2021年から任意で調査を実施しているようだ。
同社のカップ麺「一蘭 とんこつ」は2021年2月に販売を開始。麺・スープ・秘伝のたれ以外の具材は一切入っていないが、「税込490円」という一般のカップ麺より高い価格設定だったため、販売当初から「強気な価格」などと話題となっていた。同社ホームページでは、これまでに総出荷数500万食を突破したとしている。
「再販売価格の拘束」による独禁法違反とはどのようなものなのか。今後、場合によっては一蘭のカップ麺が食べられなくなるのだろうか。公正取引委員会での勤務経験のある籔内俊輔弁護士に聞いた。