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安倍元首相の警備に「ヤジ排除」地裁判決は影響したか? 元警察官僚の弁護士の見方

安倍晋三元首相が奈良市内で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、殺人の疑いで送致された男性(41)が背後から接近して銃のようなものを発砲したことをめぐり、警備体制に不備がなかったのかどうかが問題となっている。

報道によると、松野博一官房長官が7月11日、警察庁から「地元警察の対応のみならず、警察庁の関与のあり方も含め、警護・警備に問題があったと認識している」との報告を受けたことを明らかにした。7月9日には、奈良県警察本部の鬼塚友章本部長が、会見で「警護、警備に関する問題があったことは否定できない」と述べていた。

また、事件発生直前の警備状況について、札幌で安倍晋三首相(当時)にヤジを飛ばすなどした人たちが複数の警察官に排除された事件(ヤジ排除事件)の影響を指摘する声もある。

この事件をめぐっては、警察側の行為は「違法」だとして、札幌地裁が3月25日、北海道側に約88万円の支払うよう命じる判決を言い渡していた(4月1日、道が控訴)。この判決の影響で、安倍元首相を警備する際、現場にいた人などへの「強い対応」が難しくなったのではないかという考えのようだ。

要人に接近しようとする不審な人物がいた場合、警備している警察官はどんな対応ができるのか。また、ヤジ排除事件の判決の影響は本当にあるのだろうか。元警察官僚で警視庁刑事の経験もある澤井康生弁護士に聞いた。

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自転車「日本代表チーム」総監督を解任された松本整さん、自転車競技連盟と「和解」

競輪の元名選手で、自転車競技の日本代表チームの総監督を務めていた松本整さんが、日本自転車競技連盟(橋本聖子会長)から解任され、裁判で撤回を求めていた問題は3月27日、和解で決着した。東京地裁で成立した和解の内容は、「連盟が解任を撤回」したうえで、「今年3月27日付での契約終了で合意」などとするもの。松本さんは「連盟の健全化という目的は達成できた」と話した。

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セクシー水着で街を歩いたら?「水着の露出」はどこまで許される?

首都圏では「夏」を感じる日も増えてきた。こんなに暑いと海水浴にでも行きたくなる――。そんな気持ちを見透かすように、水着商戦も真っ盛りだ。デパートなどには、多くの水着が並ぶ専用コーナーが設置されている。

カラフルでバリエーションも多く、見ているだけでも気分が華やぐが、なかにはずいぶん「魅惑的」だと感じるデザインの水着もある。そもそも布が少なかったり、大胆なカッティングがあったり、下着と変わらないどころかそれ以上にエロティックなような・・・・。

こういった下着と見まがうセクシー水着で、もし街を歩いたら、どうなるだろうか。海では許されるが、街中ではNGなのか。水着のライン以上に「きわどい」問題かも知れないが、水着での露出はどこまで許されるのか、長谷川裕雅弁護士に聞いた。

●街中でのセクシー水着は「異常な光景」

「まず、ことさらに陰部を露出する行為は、公然わいせつ罪(刑法174条)になります。ただし、面積が小さくても、水着で性器を隠していれば同罪は成立しにくくなります」

このように長谷川弁護士は説明する。では、犯罪にはならないのか?

「いえ、あまりに過激な水着で身体の大部分を露わにすることは、軽犯罪法1条20号『公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者』にあたる可能性があります。

海水浴場であっても、性器がやっと隠れるほどの過激な水着は、見ている人が困惑を覚え、嫌な感じを受けると判断される恐れがあるからです。なお場所が街中であれば、水着でいること自体が異常な光景のため、NGとなることがより多いでしょう」

そうなってくると、逆にセクシー水着なんて、怖くて着ていられないのでは?

「ただ、軽犯罪法4条には、この法律の適用の濫用禁止が定められているので、過激な水着を着用している程度では、実際には警察から注意されるぐらいにとどまるでしょう。

結局、適法か違法かは、水着の面積や素材等で明確に線引きできません。一般の人がどう感じるかという基準によるので、TPOをわきまえることが重要です」

つまり、セクシー水着がどこまで許されるのかは、ケースバイケースの側面が大きいということだ。自分の着用している水着があまりにもその場にそぐわないと感じたら、周りともめる前に、早めに退散しておくのがよさそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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ツイッターの有名右派アカウントは「自民党」取引企業? 立民・小西議員が名誉毀損で提訴

ツイッター上で名誉毀損されたとして、小西洋之参院議員ら立憲民主党の議員2人は10月6日、右派アカウント「Dappi」(@dappi2019)の運営と思われる企業とその社長、取締役の2人を相手取り、計880万円の損害賠償と投稿削除などをもとめる訴訟を東京地裁に起こした。

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「男性刑務官に全裸を見られ精神的苦痛」女性受刑者が国賠提訴 弁護士は「暴力の一種」

男性の刑務官から裸を見られるなどして精神的苦痛を受けたとして、岐阜県の笠松刑務所に服役中の50代の女性受刑者が8月26日、国に対して121万円の損害賠償を求める国家賠償請求訴訟を岐阜地裁に起こした。

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亀田製菓「ハッピーリターン制度」導入ーー退職者の「出戻り」を機能させるポイント

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ライバルの飲料に禁止薬物混入「犯罪の可能性が高い」、スポーツ「性善説」に衝撃

日本カヌー連盟は1月9日、昨年9月に石川県で開かれたスプリント日本選手権で、鈴木康大選手(32)が、五輪日本代表の座を争うライバルの小松正治選手(25)の飲みものに禁止薬物を混入させていたと発表した。鈴木選手は、アンチ・ドーピング規程にもとづいて、8年間の資格停止処分となった。鈴木選手は罪に問われるのだろうか。

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「性被害」告白した元女性自衛官、実名で声あげた理由 「嘘だと言われても、今止めなければ」

元自衛隊員の女性が2022年6月、YouTubeにアップされた動画で、部隊内でセクハラを受けていたことを告白したことが波紋を呼んでいる。

彼女の名は、五ノ井里奈さん(22)。ワケアリの有名人や壮絶な人生を歩んできたアウトローなど様々な人たちに街角で話を聞く動画チャンネル「街録ch」に、五ノ井さんは素顔で登場。彼女が赤裸々にセクハラ被害を話す動画は、8月末時点で150万回以上視聴されている。

五ノ井さんは、陸上自衛隊に所属していた2021年夏ごろ、複数の上官から集団でセクハラ被害を受けたという。

ところが、被害を訴えても取り合ってもらえず、自衛隊内の捜査機関に被害届を出したものの、結果として不起訴とされた。現在は、検察審査会に不服申し立てを行い、結果を待っている状態だという。

7月には第三者委員会に公正な調査を求めるためのオンライン署名を開始。わずか1週間で6万人(9月5日現在、署名は約10万8000筆)の署名が集まった。

また、8月には立憲民主党が五ノ井さんからヒアリングを行い、防衛省人事教育局服務管理官等と非公開の意見交換を実施。さらに8月31日には防衛省に対し、第三者委員会による調査を求める要望書を提出するなど、事は大きく動き出している。

「新しく入隊してくる子たちを守れるようにと思って声を上げた」という五ノ井さんに話を聞いた。(ライター・小泉カツミ)

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旅行で「車中泊」、運転席でエンジンかけて酒を飲んだら「飲酒運転」になる?

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サッチャー元首相の死去に際して「悪い魔女は死んだ」と言ったら名誉毀損?

英国のマーガレット・サッチャー元首相の葬儀が4月17日、ロンドンで行われた。報道によると、セントポール大聖堂で行われた葬儀には国内外から約2000人の要人が参列したほか、会場周辺には数万人の一般市民が詰めかけ、サッチャー元首相の棺を運ぶ葬列を見守った。

サッチャー元首相は1979年~90年の長期にわたって在任。英国財政・経済を立て直したと評価される一方で、その強硬姿勢から「鉄の女」という異名も与えられた。公共サービスの民営化、福祉予算の縮小、労組との徹底対決など「サッチャリズム」と呼ばれる在任中の政策には、退任から20年以上が過ぎた今でも根強い批判がある。

死去を受けて、BBCラジオに『鐘を鳴らせ!悪い魔女は死んだ』という曲のリクエストが数多く寄せられたのは象徴的だった。また、英国内では葬儀に合わせてその死を祝うパーティも開かれた。中には「鉄の女」と「Rest In Peace(安らかに眠れ)」をかけて皮肉った「Rust In Peace(安らかに錆び果てろ)」というメッセージの旗を掲げる人や、サッチャー元首相に見立てた写真を焼いて抗議表明をした人もいたようだ。ネット上では元首相の肖像写真に「地獄が民営化されようとしています」などの過激なメッセージを合わせたコラージュも流れている。

日本では亡くなったばかりの人に対して、このような激しい言葉が投げかけられることはそもそも少ないが、もし、仮に日本で『悪い魔女は死んだ』と表現したら、刑法の名誉毀損罪にあたるのだろうか。郡司宏弁護士に聞いた。

●「悪い魔女」では、名誉毀損は成立しない

郡司弁護士は、こう話す。

「私は罪にならないと考えます。名誉毀損が成立しないからです。名誉毀損について定めた刑法230条1項は、『公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合』に、罪になるとしています」

「公然と事実を摘示」と言われても、イメージが浮かばない。具体的にはどんなケースがあるのだろうか?

「辻元清美衆院議員が産経新聞に勝訴した今年3月22日の東京地裁判決をみてみましょう。この判決では、同紙が掲載した『辻元議員は阪神大震災の際、被災地で反政府ビラをまいた』などと指摘する記事が、名誉毀損に当たると判断されました。

名誉毀損でいう『事実』とは、『それが真実か嘘かを証明できるような具体的な事実』のことです。さらに、それ自体が他人の社会的地位や価値を害するに足りる内容でなくてはなりません。この記事は同議員が災害ボランティア担当補佐官に起用された事を批判する文脈で書かれていました」

では、「悪い魔女」は・・・?

「一方で、『悪い』や『魔女』などの表現は個人的主観に基づく意見・判断・表現に過ぎません。これは事実ではありません。

しかも『魔女』という表現は、必ずしも社会的地位や価値を害するとも言えません。過去に五輪で活躍したバレー選手たちを畏敬の念を込めて『東洋の魔女』と呼んだように、優れた政治能力を発揮した元首相を『魔女』と呼ぶことは、彼女にとってある種の称号とも言えると考えます」

主観的表現なら良いのだろうか? 侮辱罪は?

「侮辱罪は事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱すれば、成り立つ可能性があります。ただ、批判の言葉の解釈は、その文脈の中で判断されなければならないと考えます。強い効果をもたらす政策は反面犠牲を伴います。それを批判する表現も自然と振幅が大きいものとなり、その許容限度は深くなるのではないでしょうか」

郡司弁護士は最後に「なお、今回のように表現者が特定の人物ではなく、批判する人たちの『世論』となっているような場合は、被疑者を特定することができず、法の適用もできないと思います」と付け加えていた。

「悪い魔女」程度ならば大丈夫と聞いて、記者としては一安心?したわけだが、強い言葉で他人を批判するときには、その言葉が自分にはね返ってくる場合も頭に入れておきたいと思う。

(弁護士ドットコムニュース)