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Twitterで著名人になりすます行為には違法性があるのか
先日、何者かがTwitterでノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった京都大学の山中伸弥教授になりすまし、山中教授本人と思われるような投稿を行なう騒動が発生した。
そのTwitterアカウントは、山中教授の名前で、アイコンに山中教授の写真を使用し、プロフィール欄には「京都大学iPS細胞研究所(CiRA)所長」と記載するなど、一見する限り、山中教授本人が使用していると思えるものになっており、実際に多くの人が山中教授本人のものと誤認したようで、フォロー数はおよそ1万7千人に達していたようだ。(現在はそのアカウントは閉鎖されている)
ノーベル賞の発表当日である10月8日にはそのアカウントから「ノーベル賞キター」と投稿されたことで多くのユーザーが反応、お祝いや賛辞などの返信の数はおよそ3万8千件にも上ったという。
しかしその後、iPS細胞研究所のホームページのニュース欄に山中教授はTwitterによる情報発信をしていないことが掲示され、そのアカウントは何者かによるなりすましであったことが発覚した。
現時点のところ、山中教授のなりすましを行なった者が誰なのかは明らかでないが、はたして今回のケースのように、著名人になりすましてTwitterで投稿などを行なうことには違法性があるのか。梅村正和弁護士に聞いた。
●業務妨害罪や名誉毀損罪などの犯罪になる可能性がある
「まず、刑事上は『不正アクセス行為の禁止等に関する法律』という法律がありますが、これは、他人の識別符号(パスワードなど)を利用して、識別符号の利用権者しかできない行為を行うこと等を罰しており、Twitter等で本人になりすまして発言する行為は対象外です。ただし、なりすまし行為によって、なりすまされた人の仕事に悪影響が出た場合や、名誉が毀損された場合には、業務妨害罪や名誉毀損罪などの犯罪になることはあり得ます。」
●なりすましで損害が発生した場合には賠償責任を負う可能性も
「次に、民事上は、なりすまし行為によって、なりすまされた人が金銭的な損害あるいは名誉や肖像権侵害など人格的な損害を被った場合には、損害賠償責任が発生します。また、なりすましのコメントを閲覧した人がそれを信じたために何らかの損害を負った場合、なりすましコメントとその損害との間に通常予測可能な程度の因果関係があれば閲覧した人に対して損害賠償責任が発生する可能性もゼロではありません。」
●今回の山中教授のケースでは違法性はあるものの、損害賠償請求まではされない?
「今回のケースでは、山中教授の肖像権や社会的名誉をある程度は侵害し、その意味で違法性があると言えますが、名誉毀損したとまでは言い難いですし、山中教授や閲覧した人々に何らかの金銭的な損害等が発生したわけでもないので、現実的には損害賠償請求されないでしょう。『悪質ないたずら』ですが、まだ一応『いたずら』の範囲ということになります。法律上違法性がないわけではないが、事実上損害賠償請求される程度までにはなっていないというところでしょうか。」
●過去にも剛力彩芽さんや鳩山由紀夫元首相のなりすましが発生
今回の山中教授のなりすましは一時的な騒ぎになったものの、その後すぐに終息したため、梅村弁護士の解説の通り損害賠償請求までには至らないと思われるが、Twitterでは過去にもタレントの剛力彩芽さんや鳩山由紀夫元首相のなりすましによる騒動が起きており、今後また新たな著名人のなりすましによって大きなトラブルが起きてしまう可能性は否定できない。
なお、Twitterには著名人用に認証マークが用意されているが、認証マークを取得していない著名人のアカウントも少なくないので、認証マークの有無だけでは本人か成りすましかを判別するのは難しいのが現状だ。
●著名人でなくとも、他人のなりすましはしないように
また著名人に限らず、身の回りの友人や同僚などになりすました場合でも、梅村弁護士の解説にある要件を満たせば責任を問われる可能性があるので、くれぐれもいたずらにTwitterで他人のなりすましをすることがないよう、注意していただきたい。
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落とし物の時計を拾い、ネットオークションで売ってしまった。罪に問われるのか?弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、ある男性が相談を寄せました。
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「自民党裏金議員が納税しなければ国民も納税しない」
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エックスで拡散されている「#確定申告ボイコット」のタグには、自民党議員への憤りが多数、寄せられている。
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第一次訴訟の提訴については、2月中を予定(2月上旬までの依頼者が対象)。訴訟に参加するには、コインチェック社に口座を開設しており、不正流出発生当時にコインチェック社にXEMの残高があったという2つの条件を満たすことが必要。
コインチェック被害対策弁護団のHPは、<http://www.ccbengo.jp/>。
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1週間泊まり込みで家事や介護…60代家政婦の急死は「労災」、遺族が逆転勝訴「多くの方を幸せにする判決だ」 東京高裁
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住み込みの家政婦などの「家事使用人」は、労働基準法が適用されず、労災の対象外とされているが、厚生労働省の通達で、雇用されて「指揮命令」を受けている場合は労基法の適用対象となるという扱いがされてきた。
2022年9月の一審判決後、厚労省は2024年2月に「家事使用人の雇用ガイドライン」を策定。同年6月には家事使用人を「労働者」として労働基準法・労災保険を適用する方向で法改正の調整に入ったとも報じられ、高裁がどのように判断するのかに注目が集まっていた。
この日の判決後に開かれた記者会見で、女性の夫は「家事や介護の仕事をしている多くの方を幸せにする判決だったと思う」と話した。代理人の指宿昭一弁護士も「個人家庭で働く家政婦に労基法を適用して過労死を認定した初めての判決ではないか。正しく中身のある判決だ」と高く評価した。
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