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「私の体を切り付けられる思い」少女支援団体の仁藤夢乃さん、「生活保護ビジネス」と投稿の男性を提訴
性的な暴力や搾取を受けた若い女性を支援している一般社団法人「Colabo(コラボ)」は11月29日、団体と代表理事の仁藤夢乃さんに対する誹謗中傷が過激化しているとして、代表的な投稿者と考えられる人物に対して、計1100万円の損害賠償や記事の削除などをもとめて、東京地裁に提訴した。
同日、団体が都内で記者会見を開いて発表した。仁藤さんは、「生活保護ビジネス」などという投稿はデマや嫌がらせにあたり、そうした中傷が拡散していることから支援継続ができなくなるおそれがあると訴えた。
不正入試・東京医大の「誠意ある補償」が焦点 弁護団は提訴も視野
東京医科大の不正入試問題が発覚してから約4カ月。東京医大は12月7日になって、2018年度と2017年度の医学部医学科入試で得点操作により不合格となった女子や多浪の男子受験生について、入学意思を表明した49人のうち女子5人を改めて不合格にした、と発表した。
不合格になった入学希望者の得点を復元し、得点操作前の状態に並び替えて精査した。「募集定員に達するまでの順位に入った方を合格と再判定しました」(東京医大)としている。
これまで元受験生を支援する「医学部入試における女性差別対策弁護団」は、慰謝料支払いなどの「誠実な対応」を求めてきた。ただ東京医大は「補償は検討中」と十分な回答をしないまま。弁護団の共同代表を務める打越さく良弁護士に、今後の方針などを聞いた。
スルガ銀行の不正融資問題、懲戒解雇された元執行役員が勝訴 「絶大な権力の具体的内容が明らかでない」銀行側の主張認めず
スルガ銀行不正融資問題で非違行為があったとして懲戒解雇を受けた同行の元従業員が、雇用契約上の地位確認および給与などを求める訴えに対し、東京地裁判決は、懲戒解雇は無効だとして、懲戒解雇後の給与について計約1600万円の支払いを同行に命じた。
判決は、懲戒解雇の理由として銀行側が主張した3つの非違行為について、すべて認められないと判断。懲戒解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当ではあるとは認められず、権利濫用に当たるとして、無効と結論づけた。
原告として訴えていたのは、当時執行役員で営業部門の責任者だった麻生治雄氏。麻生氏は、この問題を調査した第三者委員会の報告書で、不正融資の関係者と名指しされ、営業本部の執行役員としての注意義務に違反していたなどと指摘されていた。
麻生氏は、判決後に開かれた会見で、「裁判で(自分が知る限りの)事実を述べることによって、正しい結果が出せるということがわかった。(支えてくれた)すべての方々に感謝したい」と述べる一方、解雇前におこなわれた調査委員会などでも「同じことを述べてきた」とし、「委員会という名ですべて(の筋書き)が作られて、事実が曲げられているということが往々にしてあるのではないか」とその対応を批判した。
「うちは被害者ですよ」コカインで職員逮捕、「日本駆け込み寺」が補助金の返還命令に異議申し立て
元事務局長がコカイン所持で逮捕された公益社団法人「日本駆け込み寺」(新宿区歌舞伎町)は7月11日、東京都から取消と返還を命じられた補助金をめぐり、異議申し立てをする考えを明らかにした。
前代表理事の玄秀盛さんは同日の会見で「払える根拠がない」「支払えない」などと述べた。また、他にも複数の補助金や寄付が逮捕によって打ち切られたとして、元事務局長に対して損害賠償をもとめていくという。
暴力団、構成員数「過去最低」の背景…進む取引拒絶、住みにくい世の中に
昨年、全国の暴力団員の構成員数が約1万8100人となり、統計をとりはじめた1958年以降、初めて2万人を下回ったことが警察庁のまとめでわかった。
報道によると、全国の暴力団員と準構成員の数は、昨年末の時点で計約3万9100人で、一昨年とくらべて約7800人減った。このうち暴力団員は約1万8100人、ピーク時だった1963年(約10万2600人)の2割ほどに減少した。
暴力団をめぐっては、日本最大の指定暴力団「山口組」が分裂して以降、抗争のおそれが指摘されている。一方で、暴対法・暴排条例などで、対策がすすんでいるといわれている。暴力団員減少の背景はなにか。彼らはどこにいったのか。民事介入暴力にくわしい中井克洋弁護士に聞いた。
司法修習生が企画するシンポ「7月集会」、同性婚や技能実習生などテーマに
第72期の司法修習生が企画するシンポジウム「7月集会」が7月14、15日に京都教育文化センター(京都市左京区)で開催される。司法修習生にかぎらず、学生、社会人など、だれでも参加可能だ。
シンポは毎年開催。今後、法曹の世界に進む全国の修習生たちが、自分たちの問題意識をもとに議論して、テーマを企画している。
今年の全体会テーマは「同性婚」。講師は南和行弁護士、三輪晃義弁護士、そして一般社団法人fairの代表理事・松岡宗嗣さん。全体会では、弁護士夫夫を描いた映画「愛と法」を上映し、LGBTQに関する学びを深める。
ほかに、9つの分科会があり、「技能実習生」や「専門職の過重労働」、「累犯障がい者の更生支援」など多岐にわたる社会問題を取り扱う。
参加する司法修習生、司法試験や予備試験の受験生、学生には交通費・宿泊費の補助が出る(事前の申込みが必要)。
実行委員は「今の社会を考えるうえで重要なテーマを集めました。いずれのテーマについても第一線で活躍しておられる講師の方々をお呼びしています。ぜひ参加して、何か1つでも持ち帰っていただければ」と話している。
全体会や分科会の詳細は以下のとおり。
【第72期7月集会】
・7月14日(日)12:30から18:30 「強制連行・強制労働」「専門職の過重労働」「累犯障がい者の更生支援」 「インターネット法制」「技能実習生」「原発問題」 「沖縄基地問題」「同性婚」「難民入管」
・7月15日(月・祝)10:00から14:00 全体会「同性婚」
参加申込みフォーム:https://kokucheese.com/s/event/index/563657/
講師や内容の詳細は「7月集会」HPへ:https://7shuu.jp/
日本の10代カップル「3組に1組」でデートDV、台湾では子どもへの「防止教育」が義務化
恋人同士の間でおこる暴力「デートDV」。殴ったり蹴ったりする身体的な暴力だけでなく、相手の行動を制限したり嫌がっているのに体を触ったりすることもデートDVの一種だ。
NPO法人の調査によると、日本では10代のカップルの3組に1組で起きているとの結果も出ており、若い世代への啓発が急がれている。
11月19日に開かれたデートDVに関する集会(主催・NPO法人「デートDV防止全国ネットワーク」)では、先進的な事例として、台湾のDV防止法の紹介があった。台湾はアジアの中でも早くにDV防止法を制定した国で、子どもたちにDV防止教育がおこなわれているという。
判決延期2回で裁判官「もう待てない」と有罪判決…延期が認められる条件とは?
「もう十分だと思います。もう待てません」。詐欺罪に問われた被告人が、判決の「再々延期」を求めたことに対して、青森地裁の裁判官はこう切り捨てた。
読売新聞によると、この被告人はネットオークションで、高級車などの架空出品をおこなって、4人の落札者から計約730万円を騙し取った罪に問われていた。被告人は保釈されて、当初は、7月19日が判決予定だった。
しかし、被告人が「弁済する見通しがついた」と主張したため、8月31日に延期された。だが、被告人は台風の影響で出廷できなかった。青森地裁の鎌倉正和裁判官は、判決の「再延期」を認めて、その期日までに弁済手続きを終えるように指示していた。
ところが、被告人は再延期された9月9日当日までに70万円ほどしか用意できなかった。被告人が「この先も入金の予定がある」と再々延期を求めたところ、鎌倉裁判官は懲役3年の判決を言い渡したというわけだ。
今回のケースでは、判決の言い渡しまで紆余曲折があったが、こうした判決延期はどんなときに認められるのだろうか。刑事事件にくわしい清水伸賢弁護士に聞いた。
故郷に錦を飾るか、それともババを引いて奴隷になるか…技能実習生の舞台裏に迫るルポ
外国人技能実習生というと、"劣悪な環境のもと、日本人ほどの待遇を受けられず、まるで奴隷のように働かされている人たち"を思い浮かべたりしないだろうか。そんな技能実習生の舞台裏について、これまでとは違う角度から光をあてたのが、『ルポ 技能実習生』(ちくま新書)だ。
筆者は、フリージャーナリストの澤田晃宏氏。本書では、ベトナム農村部出身の若者たちの話が中心となっている。当事者のインタビューをしながら、なぜ日本で働くことになったのか、帰国したあとの生活についても丹念につづっている。(ライター・渋井哲也)
引き継ぎせず「有休消化」に入った部下、そして退職へ…上司「どうすればいいの?」
退職を伝えると同時に、有給休暇の消化をはじめ、引き継ぎをしないまま退社してしまった――。東北地方の男性会社員(50代)は、そんな元部下に今も納得しない思いを抱えている。
男性によると、この部下は退職を申し入れた際、あわせて未消化だった有給休暇を取得することも伝えたという。会社側としては、仕事の引き継ぎは言うまでもなく、当然のことと考えていた。ところが、退職日間近となっても引き継ぎをする様子はない。
そこで会社側が「引き継ぎはいつするのか」と連絡しても、元部下から音沙汰はない。そして、そのまま退社に至ってしまったというのだ。
男性は「これまでこんな社員はいなかったため、人事もお手上げ。しかし、有給休暇の消化は権利でもあるし、無理にでも出社させることはできなかった。どうすればよかったのか」と話している。
有給休暇を取得するのは、会社員として当然の権利だ。2020年からは年間5日の有休取得も義務づけられた。しかし、この有給休暇をめぐっては、退社時にトラブルになることも少なくない。
今回のようなケースで、会社側はどのように対応すべきだったのか。山田長正弁護士に聞いた。